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1. 貿易・投資に基づくビザ(E‐1・E−2ビザ)

Eビザは、日米間の貿易を条件とするE−1ビザとアメリカにおける投資を条件とするE−2ビザの二種類に分かれる。資格条件を満たす企業の役員・管理職者や企業に不可欠な技術者などに発行される。過去 50 年間、日本企業による利用頻度が最も高いビザである。

E−1ビザは貿易に基づき、E−2ビザは投資に基づく以外は、このふたつのビザの効力と資格条件は全く同じである。


  a. 条件

i ) 企業の「国籍」

企業は、アメリカと条約を結んでいる国の国籍をもっていなくてはならない。これには約 40 カ国が該当するが、日本もそのひとつである。企業の国籍を判断するには、どこの国で設立されていても、その企業の 50 %以上が日本人あるいは日本の企業に所有されているかどうかが基準となる。もしもその企業の株式が上場されており、誰がどれだけの株式を所有しているかが判断不可能な場合は、株式が売買されている市場がどこにあるかによってその企業の国籍が決まる。つまり、それが東京株式市場であればその企業の国籍は日本となるのである。なお、企業の所有者が個人であるときは、その個人が@日本国籍を持っており、Aアメリカの永住権(グリーンカード)所有者ではない、という両方の要件が満たされた場合のみ、その企業は日本国籍となる。

ii ) 申請社員の国籍

Eビザ申請社員は、申請企業と同じ国籍でなくてはならない。日本企業なら、日本人社員にだけ、Eビザを申請することができる。

iii ) 役員職・管理職者あるいはその企業に不可欠な技術者とは

「役員職者」とは、企業の全体的な経営に関して最終的な権限と責任をもつ社員か、あるいは企業の経営方針を決定する権限をもつなど、トップレベルの責任を負う社員のことをさす。

「管理職者」とは、部下を管理する立場にあるものをさす。ただし、部下がいる立場にある者がすべてがこれにあてはまるわけではない。管理職者にあたるかどうかの判断基準として、アメリカ領事は給与額・管理する部下の仕事内容・管理職者としての経験等を考慮する。多くの社員を有する大企業なら、 Vice President や Manager などの役職名があれば充分だろう。

「不可欠な技術者」とは、その職務が企業の円滑な経営に必要不可欠なことが条件となるが、その判断基準が明瞭ではないので、申請企業はなぜその社員の職務が企業にとって必要なのか、またどのくらいの期間その社員の勤務が必要となるのかを明確に説明しなくてはならない。

上記のカテゴリーに該当しない社員でも、アメリカでの起業またはアメリカ人社員を一時的に訓練するために必要ならば、それほど特殊な技能を持たない社員でもEビザが申請することができる。このような社員にはたいてい1年だけ有効なEビザが発行される。


 b. E−1ビザでいう貿易とは

i ) 貿易の定義

E ‐1ビザのスポンサー企業に該当するためには、企業は物、サービスもしくは技術の輸出入に携わっていなくてはならない。物とは有形もしくは固有の価値のある商品を指し、サービスとは金融、保険、運輸、コミュニケーション、データ・プロセシング、広告業、会計、デザイン、工学、経営コンサルティング、旅行業、技術譲渡など無形だが商品価値のあるものをさす。

条約の目的は、二国間の国際貿易を発展させることにあるため、国際取引を行わないアメリカ国内での経済活動は E ‐1ビザでいう「貿易」に当たらない。つまり、単にアメリカ国内での取引に従事するだけでは E ‐1ビザの条件は満たせないのである。物やサービスの取引はアメリカと条約提携国間とのものでなくてはならないが、アメリカ国内だけで取引を行っていてE−1の資格条件に相当しない企業でも、投資の要件を満たすなら E −2ビザという可能性がある。

ii ) どの程度の貿易が必要か

E−1で言う貿易は「実質的 (substantial) 」でなくてはならない、とされている。しかし、取引高に具体的な基準は設けられておらず、むしろ国務省も移民局も、貿易の額そのものよりもその貿易活動に継続性のあることのほうが重要であると考えているようだ。つまり、どんなに多額な貿易額であっても、わずか数回きりの取引ではE−1は認められず、かえって一回の取引額は小さくても貿易活動が継続的におこなわれているという事実のほうがより「実質的」な貿易という条件を満たすという態度をとっている。取引額ももちろん考慮に入れられるが、重要な要素とはならない。よって、中小企業でも多くの(回数の)取引を行っていれば、 E −1のスポンサー企業として認められる可能性があるのである。

iii ) 対米貿易の割合

企業の取扱貿易総額のうち 50 %を超える額が常に日米間の取引でなくてはならない。もし、現地法人が設立された場合、その現地法人の貿易のみが判断基準となる。さもなければ、日本の親会社の取扱貿易総額のうち 50 %を超える額が日米間の取引であれば、その企業は E − 1 のスポンサー企業として認められる。この条件を満たさない日本企業は、日米間の貿易を処理する目的で、米国現地法人を設立するという選択肢もある。それにより、この企業は E − 1 ビザのスポンサー企業としての条件を満たすことができる。なお、取引する商品は日本で生産されたものでなくてもよいが、アメリカと第三国との貿易の間に、必ず日本を通さなくてはならない。


 c. E−2ビザでいう投資とは

i ) 投資とはなにか

ここでいう投資とは、将来の見返りを見込んで資産・資金をつぎ込むことを指す。この場合、事業経営のためにアメリカに移送された物や設備も投資の一部として認められる。ただし、企業自身の資産を担保にしたローンで作り出された資金を用いての投資は許されない。逆に無抵当のローンで捻出した資金は、投資資金としてみなされる。逆に無抵当のローンビザの申請をする時点で、投資がすでに完了しているか、一部でも進行中でなければE−2ビザは認可されない。つまり、投資のための資金をプールしてあるだけでは投資と認められず、実際にその資金が費やされなくてはならない。もし投資が進行中なら、投資資金がその企業の支配下にあって投資されることが決定しており、アメリカでの企業経営をまさに開始するところであることを示さなくてはならない。つまり、投資が取り戻せない状態になっていることを要件としている。

実際の投資もしくは投資の一部がおこなわれない限りE−2ビザを取得することは困難なので、そういう場合にはまず B − 1 ビザを取得したほうが得策かもしれない。B−1ビザでは、会社の経営自体をおこなうことはできないが、とりあえずの起業活動を行うことはできる。

ii ) 投資が先がビザが先か

投資額はやはり「十分 (substantial) 」な額でなければならないが、特に基準額は定められていない。必要な額は、その企業がどんなビジネスをしているかによって違ってくる。大切なのは、ビザを取るために投資を行うのではなく、投資を行うためにビザを取るということを認識することである。このふたつを取り違える人は多い。

iii ) 投資は積極的に

E−2企業は、積極的な企業経営・商品生産・サービスの提供によって「積極的 (active) 」投資を行わなくてはならない。「消極的 (passive) 」な投資は認められない。不動産売買とそれに付随する不動産管理業務は「積極的な投資」と認められるが、一方、未開発の土地や二億円のコンドミニアムを買収して寝かせておくだけなのは、「消極的な投資」としてE−2ビザ申請でいう投資とみなされない。銀行口座に置いてあるだけの資金もまた、その資金が企業経営のために使われることを証明するものがなければ、「積極的な投資」として認められない。


  d. Eビザ社員の扶養家族

E−1ビザ社員の扶養家族にはE−1ビザが発給され、E−2ビザ社員の扶養家族にはE−2ビザが発給される。Eビザ社員の扶養家族(特に配偶者)で、条約提携国の国籍をもたないものもEビザ社員と同じ期間のE査証を取得することができる。ここでいう扶養家族とは、配偶者と21歳未満の子供を含む。Eビザの扶養家族はアメリカでの就学も可能だが、Eビザ社員が帰任したりあるいは子供が21歳に到達した後も就学を続けたい場合は、留学生のF−1ビザに切り替えなくてはならない。


  e. Eビザ配偶者の就労許可

Eビザの配偶者は移民局サービスセンターに書式I−765と本人のパスポートコピー(氏名・生年月日や顔写真が載っているページ)とI−94のコピー、主要ビザ保持者 のI−94のコピー、戸籍謄本のコピー(もしくは婚姻関係を証明するもの。英語でない場合は翻訳を付ける)、移民局手数料(120ドル)、顔写真 2 枚を提出することにより、就労許可証を取得できる。

 
  f. 有効期間

Eビザは通常、5年間有効な査証が発行される。例外的に、新事業立ち上げやアメリカ人社員の訓練のために渡米する社員には1年の期限のE査証が発給される。上記で説明したようなEビザの要件が満たされつづける限りは、何度でもE査証は更新可能で、アメリカ大使館・領事館か、ワシントンDCにある国務省のビザオフィスに郵送して申請できる。

Eビザ保持者にはアメリカに入国するたびに、通常2年間有効な滞在許可(I−94)が与えられる。

 


2. L−1ビザ

 L−1ビザとは、多国籍企業の同系列グループ内での転勤に最適なビザである。ひとくちにL−1ビザと言ってもいろいろな種類があるので、L−1Aビザ・L−1Bビザ・ブランケットLビザ・新事業のL−1ビザそれぞれに分けて述べることにしたい。

カテゴリーにかかわらず大前提の条件として、L−1ビザに該当するには、派遣される社員がアメリカ国外の親会社・子会社もしくは関連企業で過去3年のうち最低1年は就労していなくてはならない(ブランケットL−1は 6ヶ月)。また、派遣先での職務が役員職者か管理職者、または専有的な知識の保持者として勤務する予定でなければならない。


  a. 通常のL−1ビザ

i)L−1Aビザ社員の資格条件

管理職者(マネジャー)・または役員職者(エグゼクティブ)のためのビザである。移民局による申請社員の資格基準は以下のようになる。

管理職者
 •  組織・部・課などを管理している
 •  他の管理職者や専門職者を監督する立場にある
 •  人事裁量権があり、また直属の部下がいなくても 企業内の管理職者の中でも特に上級管理職者の立場にある
 •  日常業務に裁量権を持っている

役員職者
 •  管理職者を監督する立場にある
 •  企業の経営目標・経営方針を定める立場にある
 •  広範囲での決定権がある
 •  さらに上級の役員職者からは一般的な指示しか受けない

ファンクション・マネジャー

1990年の移民法規で、L−1Aビザでいう管理職者(マネジャー)の定義がファンクション・マネジャーにまで拡大された。ファンクション・マネジャーとは、 企業にとって必要不可欠な業務を管理しその業務に裁量権を有するが、部下は持たず、したがって人事裁量権も持たない管理職者のことをさす。ファンクション・マネジャーとして認められる唯一の条件は、ファンクション・マネジャーが管理する業務が企業経営の成功に必要不可欠なことである。ファンクション・マネジャーは企業にとってその管理業務に関し、完全な裁量権を持っていなくてはならない。言い換えると、ファンクション・マネジャーは独立した決定権を持っていなくてはならない。

法律上では部下を持たない管理職者、つまりファンクション・マネジャーが認められているものの、実際にこのタイプの管理職者のためのL−1Aビザ申請となると、移民局は好意的な見方をせず、追加情報請求(RFE)をする傾向にあり、申請が却下されることもある。よって、ポジションが高くても部下がいない場合は、L−1Bビザ(後述する)を申請したほうがよい場合もある。L−1Aビザを申請する利点は、L−1Bビザよりわずか2年長く滞在できることだけである。無理をしてファンクション・マネジャーのL−1Aを申請するよりも、ひとまずL−1Bビザを取得し、その後5年以上勤務する必要がある場合は、L−1Aビザにカテゴリー変更することもできるし、あるいはEビザに変更することもできる。

ii)L−1Bビザ社員の資格条件

上述のようなファンクションマネージャーや役員・管理職条件に該当しない派遣社員でも、海外の同系列企業での過去3年以内に 1年以上の勤務経験がある人には、L−1Bビザという可能性がある。このL−1Bビザに該当するためには、企業内の「専有的 (specialized) 」 な知識を持っていなくてはならない。ここでいう専有的な知識とは、

 •  その企業内での経験がなければ得られないもの
 •  企業独自の商品、サービス、研究内容、専門技術、作業方法、技法、経営方針などについてのもの
 •  アメリカ人労働市場では身につけられない特殊なもの
 •  その企業専売のもの

さらに、アメリカでの派遣社員の職務が上記の知識を必要とする内容でなくてはならない。いくら申請社員が企業に専有の知識を持っていたとしても、アメリカでその専有知識とはまったく異なった分野の職務や部署に移されるのでは、L−1Bビザの資格に該当しないことに留意したい。


 b. ブランケット(包括的)L−1ビザ

海外から相当数の駐在員をアメリカに派遣する企業は、L−1ビザの申請にかかる時間を短縮できるオプションとして、ブランケットL−1ビザというカテゴリーを利用することができる。このカテゴリーだと、派遣社員一人一人が個別のL−1ビザ認可証を米国移民局から取得する必要がない。なぜなら、企業自体に既に資格証明書 (Eligibility Certificate) が移民局から与えられており、これをもとに直接アメリカ大使館(領事館)に派遣社員のL−1査証申請をすることができるからである。またブランケットL−1資格証明書には、アメリカ国内外のブランケット申請に参加するすべての系列企業名をリストに加えなくてはならない。これによって、系列内であれば、このブランケットL−1ビザを利用してL−1ビザの申請がスムーズに行える。

この資格証明書を得るには、企業は次の条件を満たさなくてはならない。

@ ブランケットL−1資格証明書に含まれる派遣先子会社・関連会社はすべて、商業活動をおこなっている
A 申請者となる親企業はアメリカ国内にオフィスを持ち、すでにそこで 1年以上のビジネス活動をおこなっている
B 企業は、計 3 つ以上の支店・子会社・関連会社を母国内と海外に持っている
C 親企業とそのブランケットL−1資格証明書内に含まれる派遣先企業は、過去 1年間に 10 以上のL−1A・L−1B申請を行った実績があるか、あるいは年間総収入が 2,500 万ドルを超えているか、またあるいはアメリカ国内の社員数が 1,000 人を超えている

ところで、企業自体の資格とは別に、派遣社員にもそれなりの資格条件がある。管理職・役員職のブランケットL−1ビザ申請者の資格条件は、L−1Aビザにと変わりない。いっぽう、専門職のブランケットL−1ビザ申請者は、大学の学士号(あるいはそれ以上の学歴)の専攻がアメリカでの職務に直結していることが条件とされている。

なお通常のL−1ビザ社員は派遣前の3年間のうち最低でも1年は海外の親会社か子会社で勤務していなければならないが、L−1ブランケットの場合はその勤務期間が6ヶ月あれば資格に該当するとされている。


 c. 新規事業のL−1ビザ

海外の企業がアメリカで新規事業を設立して社員を派遣する場合にも、L−1ビザを申請することができる。この場合の新規事業とは、会社が設立されてから1年未満のものを指す。それ以外の条件としては、通常のLビザと同様に、海外とアメリカの企業間に親会社・子会社あるいは関連会社といったような所有関係が成り立っていなければならないし、派遣される社員は海外の関連会社で最低1年は勤務していることが条件となっている。この他次のような補足書類を必要とする。

•  事務所の賃貸契約書あるいは売買契約書のコピー
•  今後1年間の事業計画書


  d. L−1ビザ社員のアメリカ国内での社内転勤

すでにアメリカに通常のL−1ビザで赴任している駐在員を別の関連会社に移籍する場合には、事前に移民局に新規のビザ申請を提出する必要がある。

一方、ブランケットL−1の駐在員が同じブランケットL−1企業(ブランケットL−1資格証明書のリストに記載されている企業)間で転勤する場合は、その職務に特に変更がない限り、移民局の許可を得る必要はない。


  e. 有効期間

通常のL−1ビザとブランケットL−1ビザは、初回に3年間有効な認可証が与えられ、2年毎の更新が可能である。管理職と役員職のL−1駐在員は初回3年、延長して2年、さらにもう2年の延長が可能なので、計7年の滞在が許されている。 新規事業のL−1Aビザだと、初回に1年、さらに2年ずつの更新を3回繰り返せば計7年の滞在が可能。 一方、専有知識職のL−1BあるいはブランケットL−1の専門職L−1社員はは初回3年、延長して2年で、計5年の滞在が許される。 新規事業のL−1Bだと、初回1年、さらに2回の更新をはさんで計5年の滞在が可能。(下の図を参照)

ビザの種類

通常のL−1ビザ

ブランケットL−1ビザ

新規事業のL−1ビザ

L−1A

L−1B

管理職・役員職者

専門職者

L−1A

L−1B

初回のビザ

3年

3年

3年

3年

1年

1年

一回目延長

2年

2年

2年

2年

2年

2年

二回目延長

2年

不可

2年

不可

2年

2年

三回目延長

不可

不可

不可

不可

2年

不可

合計

7年

5年

7年

5年

7年

5年

新規事業のL−1ビザを除き、延長申請は比較的容易である。新規事業のL−1は、初回の1年のあいだにどれだけの事業計画が遂行されたか、また社員が何人増員されたかなど詳細にわたって証明できなければ、次の2年の延長を認められない。

ところで、最初にL−1Bビザで赴任してきた駐在員でも途中で部下がつくなど昇進があった場合には、L−1Aのカテゴリーに変更することにより、5年の滞在を7年まで延長することが可能である。ただし、現在のL−1Bでの5年の滞在リミットに到達する最低6ヶ月前までにその申請を提出することが必須条件となっている。 言い換えれば5年の滞在期間が向こう6ヶ月を切ってしまった場合、L−1Aに切り替えることはできない。


  f. L−1ビザ社員の扶養家族

L−1ビザ社員の配偶者と21歳未満の子供は、L−2ビザを取得することができる。L−2ビザならアメリカでの就学も可能であるが、L−1ビザの本人が帰任したりあるいは子供が21歳に到達した後も就学を続けたい場合は、留学生のF−1ビザに切り替えなくてはならない。


  g. L−1配偶者の就労許可

L−1ビザの配偶者でL−2ビザを保持する者は、アメリカでの就労許可証を得ることができる 。

 


3. H−1B(専門職)ビザ


  a. 専門職 (specialty occupation) の定義と必要条件

専門職とは、通常その業務遂行のためには、特定の分野(専攻)の学士号 (bachelor's degree) 以上の学位を必要とするものであり、その学位なしには業務遂行が困難になる職業を指す。しかし、一般には大学の学位が必要とされない職業でも、その企業ではその業務が非常に高度で複雑な内容で、最低大学レベルの学歴が必要であることを説明できればH−1Bビザでいう専門職に該当する。

このビザの第一の資格条件は、最低でも4年制大学の学士号を保持していること、そしてその専攻がオファーされた職務の内容に関連した分野であることだ。 日系企業で採用される日本人の大半は大卒なので、非常に需要の高いビザといえるだろう。会計、エンジニアリング、ファイナンス、マーケットリサーチ、数学、物理、社会学、医学、ビジネス、法律などに関連した職務が一般的にH−1Bビザの分野として知られている。


  b. 申請者の資格条件

H−1Bビザを申請する社員は、予定職務内容に直結する分野(専攻)での学士号かそれに相当する学歴をもっていることが肝心である。

i) 4年制大学の学位―まず、大学の学位を必要とするかどうかでその職務の特殊性が定義づけられる。普通は、大学の学士号かそれ以上の学歴があるかどうかで、申請者がH−1Bビザに該当かどうかがほぼ決定するといっても過言ではない。専攻内容や学位のレベルは職務内容によって異なる。

ii) 外国で得た学位―H−1Bでいう学位のレベルはあくまでアメリカの教育を基準としているが、諸外国で得た学位でもアメリカの学位レベルに相当するものであればよしとされている。外国で得た学位は必ず、実績のある個々の外国教育評定機関を通してアメリカの学位と比較証明をされなくてはならない。


  c. 高学歴(学士号)がなくても

法規では、大学を卒業していない人でも、その職務経験が、もしくは職務経験と学歴を合せた経歴が大学の学士号レベルに相当する場合は、H−1Bビザの資格に相当するとしている。ここでの職務経験は、たんに平坦な業務内容を繰り返しただけではなく、エントリーレベルから徐々に実績を重ねていくといったような段階的な内容であることが肝心だ。 過去の雇用先からのそのような経歴を詳しく述べた勤務証明があれば十分である。

詳しく説明すると、「 3 for 1 (スリーフォーワン) 」といって、移民局では申請者が大卒でなくても、職務経験3年が大学の教育1年に相当するとして、申請者に不足している学位(もしくは単位)を経験年数でカバーする方法を認めている。また特殊な研修を受けた人や職務内容を持つ人の中には大学の学士号に相当することもある。極端な話だが、高卒でも、段階的な職務経験を12年以上持っている人は、正規の大学の教育がなくてもH−1Bビザの資格に相当することもある <12(職務経験)÷3(年数)=4(大学の就学年数)>。


  d. スポンサー企業の責任

企業は、一定額 (prevailing wage) 以上の給料をH−1B社員に支払う義務がある。この最低給料額は職種や勤務先の所在地によって違ってくる。また、もしH−1B社員を解雇した場合は、その社員が母国へ帰るための旅費を支払う義務も負う。


  e. 有効期間

通常H−1Bビザで就労できる期間は最長6年である。初回に最高で3年まで就労期間が認められ、さらに次の3年の延長を申し込むことが可能。丸6年をH−1Bビザで使い切ってしまっても、1年間アメリカを離れれば、また改めてH−1Bビザを申請することができる。


  f.  6年以上の延長

通常H−1Bビザは最長6年しか使えないとされているが、次のような例外が設けられている。

•  外国人雇用資格認定書 あるいは移民ビザの申請書 (I-140) を申請して 365 日以上たっているH―1B所持者は、最終的にグリーンカードを取得するまで、 6 年を超えてさらに 1年ずつの延長を許される。
•  毎年 6 ヶ月未満しかアメリカに滞在しないH−1B保持者は、無期限で 3 年ずつのH−1B延長を申請しつづけることができる。


  g. 移動性(ポータビリティ)

i) 概要

すでに別の企業でH―1Bで就労している外国人を雇用する場合は、従来のように申請が認可されるのを待つ必要はなく(通常 2〜3カ月かかる)、雇用主変更の申請を移民局が受理した時点での採用が可能となった。つまり、すでにH―1Bのステータスを持っている者が、雇用主変更の申請を移民局へ受理された時点で新しい雇用先で就労を開始することを可能にしたのである。もちろん無条件というわけではなく、@現在H―1Bのステータスをすでに持っており、A新しい(雇用主変更の)申請が現在のステータスが無効になる前に提出されている、B新しい(雇用主変更の)申請が提出される前に不当な就労についていない、という条件を満たしていなければならない。しかしこの新しい申請が却下されると、その時点で就労許可も無効となるので注意したい。

ii) 雇用主変更中のI−9の取り扱い

雇用主変更の申請を移民局に申し込んだ後、認可が出る前に申請者を採用した場合には、かならず企業のI−9ファイルに移民局からの申請受領証を保管しておくべきである。受領証がなかなか届かない場合は、せめて書類を送ったことを証明できるもの(フェデックスのエアビル等)を入れておこう。ただし、この変更申請が却下された場合でも、それまでの雇用が違法行為となることはないので、それについては企業責任を問われることはないが、却下された時点で就労を中止しなくてはならない。繰り返すようだが、移民局の認可を待たずに社員を採用できるのは、あくまでその社員がすでに他社でH−1Bビザのステータスを取得していて、同じH−1Bビザで転職をする場合に限られている。

 •  すでに離職したH−1B保持者を採用するには

もうすでに当初のH−1Bビザでの雇用先を離職している人間を別の企業が採用したい場合、状況はかなり厳しい。

移民法を厳密に分析すると、現在のH−1Bビザの認可証(I−797)がまだ有効である限り、どんなに長い間無職であったとしても、H−1Bビザでの転職が可能とされている。つまり、企業は、新たにH−1Bビザの申請を移民局に提出さえすれば、H−1Bビザの雇用先をやめた後もアメリカに無職のまま滞在し続けている外国人を雇用することができるというのである。

しかしその一方で、この外国人のH−1Bビザ上の滞在許可証を延長できるかどうかはまた別の問題である。数年前まで移民局ではこのような場合、H−1B保持者に退職して後 30 日から 60 日の滞在猶予期間をあたえ、その間に次の雇用先への雇用主変更申請と同時に滞在許可の延長申請を提出することを提案していた。しかし、この「滞在猶予期間」に関する明確な法規はないため、無職のH−1Bビザ保持者が雇用主変更を申請する場合にこれを認めるかどうかはまさに移民局の自由裁量にかかってくる。 

なお新しい雇用先でのH−1B申請は認可されても、滞在許可の延長申請が却下されてしまったら、アメリカにい続けたままで雇用主を切り替えることができなくなる。しかし、以前の雇用先からすでにパスポートにH−1Bビザの査証を取得していて、しかもその査証がまだ有効な人は、一度アメリカを離れて新しい許可証を持って再入国すればその日から新しい雇用先で働くことができる 。 すでに査証が切れてしまっている人、あるいはまだ一度も査証を取得してなかった人でも、この新しい認可証をもとに海外のアメリカ領事部でH−1B査証を申請・取得して、アメリカへ再入国すればよい。


  h. H−1B社員の扶養家族

H−1Bビザ保持者の扶養家族(配偶者と21歳未満の子供)はH−4ビザを取得することができる。扶養家族はH−4ビザで就学することも可能だが、H−1B保持者が帰国することになってもアメリカに残って学業を続けたい場合は留学生ビザのF−1に変更する必要がある。また、子供は21歳になるともはや法的扶養家族とみなされないため、それ以前に必ず留学生ビザのF−1に変更しなくてはならない。


  i. H−1B配偶者の就労許可

EビザやLビザの配偶者とことなり、H−4ビザは配偶者としての就労許可が下りない。